THINK

人が生み出したものは全て尊い

2023.12.21

art cruise gallery(以下acg) アートディレクターのおおうちおさむです。
今後、ここに日々感じたことなどを書き留めていこうと思います。
それが、acgが進むべき未来への一助になることを祈りつつ、、、
最初の投稿は、acgに結びつけたお話をさせていただきます。

アートの価値って随分と複雑でわかりにくくなってしまっているなあと感じます。
高額なものが多いがゆえに限られた人の手にしか渡らなかったり、
限られた場所でしか向き合えなかったり、、、
もちろんそれに相応しい、素晴らしいアートは沢山あります。

私は、アートが好きでこの世界に入り、いまもずっとアートを追いかけている身として、
アートの存在意義を見つめ直したいと思い、その方法の一つとして長野県松本市で『マツモト建築芸術祭』というものを立ち上げています。
そこでは、アートと呼ばれているものとそうでないものを並列に展開することにも挑んでいます。
なぜなら私は、人が生み出したものは全て尊いと思っているからです。
洋服、日用家電、車、自転車、食器、映画、マンガやアニメなどなど、、、、
あげればキリがないくらいに、人が生み出したものは、素晴らしく美しいものがたくさんあります。
はたしてこれらは、アートよりも劣っているのか?
どちらが人の暮らしを豊かにするのか?
そんな問いかけを実践してこうと思っています。

そんな私がacgに携わる上で、
アートが日用品に負けず劣らずの必需品になって欲しいという考えを持つことにしました。
これもある意味「並列化」なのですが、先述の考えとは少し違います。

私は、美術館のホワイトキューブという環境が大好きですが、
アートの本来役割は、人の暮らしを豊かにすることであって欲しいと思っている人間です。
ですので、守られたホワイトキューブではなく、人それぞれの生活の場に入り込んで欲しい。

この考え方は、「逆民藝思想」という表現がしっくりくる(勝手に名づけました)。
「民藝」は用の美、日常の身の回りのものに美的価値を与えて、飾ってみたら素敵だったという感じ。
例えば「おたま杓子」に美を見出し博物館などに展示すると、
それを見た大衆は、「俺の家のおたま杓子もすごいんじゃないかな?」と思うようになり、
暮らしの視点が変わって生活が楽しくなっちゃう、、、的な。

「逆民藝思想」は、美術館などで鑑賞される機能のみを発揮しているアートを、日常に落とし込む。
生活的機能はないけど、すごく俺の部屋が愛おしくなっちゃった、、、的な。
コントラストを強く生む異物が入り込むと、周囲に価値観の変化を発生させると思うのです。
散らかった汚部屋でも、強いアートがひとつあると、周りのゴミも肯定されてしまうような気がしてます。

先述の『マツモト建築芸術祭』はこのことを表現する場として考えたアートフェスでして、会場である建築を主役にしたものです。

マツモト建築芸術祭:artist小畑多丘 
マツモト建築芸術祭:artist小畑多丘 venue割烹松本館

acgは販売もするギャラリーなので、
そんな考え方を持ちながら、今現在のアートに向き合って、
暮らしの中にアートを送り出したいなと思っています。

今後ともacgをよろしくお願いいたします。